このたび、「人生の花火」を拝読し、感動いたしました。
登場人物の心理描写が私にはとてもしっくりくる感じがして、「そうだよな」「なるほど、そう思うよな」という風に、登場人物(悠二)に一つ一つ共感しながら読むことができました。井上靖の作品(しろばんば 等)を読んだ時のように、自分の心にピッタリとくる言葉を次々と提供してくれているような感じを、読みながらずっと受けておりました。
中でも一番印象に残っているのが、ユウジとユッコの恋愛編です。十二月に二人が結ばれる時の食事パーティー、ユッコの別れの手紙、その後のユウジの後悔や悲しみ、その気持ちをわかったうえで厳しい助言をしたり一緒に悲しんでくれたりする姉 燿子とのエピソードなど、身につまされるものがありました。読んでいて、ユウジやユッコの切ない魂に触れて、こちらの胸も高鳴ったり動揺したりする感じがしました。ユウジは、可愛く知的で優しいユッコのことが大好きなのに、(花火が美しく燃えた後に必ず消えるような必然で)恋愛のピークが過ぎると、ユッコが彼女でいることが当たり前になり、心がすれ違い、思いもかけぬ終わりを迎えてしまう。その時その時の二人の心情に共感することができて、恋愛の春夏秋冬が書き尽くされている感じがしました。素晴らしい文章に、感動した次第です。
また、悠二が高校生の時に初めて間近で見た花火に大感動したのに、周りの友達はそれほど感動しなかった、というエピソードも印象に残りました。本当に好きなことというのは、全員とは共有できないものなのではないか。世間がわかってくれなくても、自分が充実しているから不足はない。悠二にとっての花火とは、そういうものだと思いました。
悠二は花火のことが本当に好きだから、それが活力や勇気の源になって、他の花火写真家の先生に否定されてもめげなかったり、飛び込みでマリンタワーに展覧会開催のお願いをしにいったりできるのだと思います。君は、自分が欲していることに気づいているか——そう問いかけられている感じがしました。私は、好きなことについての自覚を不断に救い出していきたい。その意味で、この小説は、自分を見つめ直したり、思い切って何かを始める際のお手本になってくれるような気がしました。何より元気がもらえた感じがしております。
ガイモンさん、大変熱のこもった感想文を頂き、誠に有難うございました。
人生には大きく四つの柱があると思っています。即ち、家族、友達、恋人(恋愛)、仕事です。『人生の花火』にはこの四つをすべて織り込みましたが、中でも恋人については、力を入れました。モデルの金武さん以上に、自分の経験や想像が入っているところですが、そのあたりを感じ取って頂いたようで、作者冥利に尽きます。さらにガイモンさんにとって、自分の人生を見詰め直す機会になったということ、私にとっても励みになりました。
また、ガイモンさんも小説を出版されていますが、そういう方に評価を頂いたということも大変うれしい限りです。私もガイモンさんの小説を読んで、感想文をお送りいたします。
今後ともよろしくお願い致します。