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感想文24

 花火写真家の金武武さんをモデルにした小説。

 あくまでもモデルで自伝ではない。あとがきにも書かれているが、金武さんだけではなく作者である冨部さんの経験も織り込まれているらしい。


 描かれている人生はまさに波乱であるように感じる。

 喘息で闘病した幼少期。療養所での出会いと別れ。大人達に夢を否定され違う職につくも長続きせず退職。そして結婚式場のカメラマン見習いになったり。


 しかし学生時代に見た花火の感動をカメラに納めようと進む主人公の姿には勇気を貰える。


 他の登場人物達も魅力的な人ばかり

 「なんかこういう苦手なやついたよなぁ」とか幼い頃の憧れのお姉さんとかそういう人達とのやり取りや、病気での苦しみや生きる上での葛藤、もがきが実に鮮明に描写されている。

 出会いから17年かけて文章に落とし込み、作り上げただけありそこには人生がつまっている印象。

 自分自身遺伝性の難病にかかっており、その病気の中では軽い方ではあるが、チック症も重なり学校に通えなかった時期があったので、学校で勉強が遅れるや友達との交流があまり出来てない部分自分と重ねて読んでいました。

 生きる事は勿論夢へ挑む事への大変さは過酷ではあるが、それが花開いてるのには笑顔がこぼれました。

閲覧数:44回1件のコメント

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ことのほか厳しい暑さが続いている八月も、もうすぐ終わろうとしています。 過日は長編小説『人生の花火』をお贈り頂きまして、心よりお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。とても読み応えがあり、私も悠二達の過ごした頃に引き込まれて行き、そこかしこに冨部さんの執筆への熱い想いが伝わってきて感動いたしました。 私たちの人生・社会も決して順調に、思い通りになるものではありません。背負い切れない艱難が

『 人生の花火 』読み終えました。ひさびさの一気読みです。 冨部久志さんの文章がなにより素晴らしい。読ませる! 金武 武さんをモデルとした主人公の「現代的」生き方に最終的に共感し、著者である冨部さんの取材力と真摯な執筆態度にもエールを送りたいです。 青春を描いた本として読みつがれることを期待してます。装幀もいいです。各所にあしらわれた花火の写真も素晴らしい。 PASSAGEbi

貴重な著書を読ませていただきありがとうございました。 感想が遅くなってすいません。一度読ませていただいてから何度か読み返しをさせていただいていました。主人公が私と年齢が近いこともあり、共感するところもありました。 もっとも印象に残ったのは、喘息の発作の苦しさを表現した部分で、「長い夜」の発作を起こした時の様子や「森の中の学び舎」(その三)で、悠二が岡沢の発作の苦しみを想起している部分でした。これを

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