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執筆者の写真Hisashi Tomibe

炎も猛なわ(46)


      2015年7月25日(土)隅田川花火大会にてスマホで撮影(恥)


 先週の三連休、暑さにも負けずにあちこちを飛び回ってきた。

 7月15日(土)は大学時代に情報雑誌「ぴあ」でのアルバイトを共にしていた友人と久ぶりに会うため、浅草に出向く。その前に、知り合いの出版社アノニマ・スタジオが主宰する「第13回 BOOK MARKET 2023」を覗いてみた。

         「第13回 BOOK MARKET 2023」の様子


 彼女はちょうど受付のところにいて、同じメンバーである普段の勉強会では見せない、明るい笑顔と営業トークで来客の対応を行っていた。さて、数十の出版社が所狭しと本を並べている中、3冊買うとトートバッグが貰えるという特典に背中を押され、普段なら買わないような本を七冊も買ってしまった。

       「本の雑誌」には岡崎武志さんも寄稿されている。


 受付で彼女からトートバッグを二つ貰ったあと、今度は伊勢崎線の浅草駅に向かう。気温は33℃で、外を歩いていてもまだ何とか我慢できる暑さである。改札口を出たところのベンチに座っていたY君は12年前に会った時と余り変わりなく、その空白の12年間があっという間に雲散霧消してしまう。特に店の予約もしていなかったので、浅草の商店街をぶらぶらと歩くが、浅草寺前の通りは居酒屋があまりなく、駅からどんどん離れていく。次第に汗が噴き出すようになってきたが、しばらく歩くと、道路の両側がほぼ露店の飲食屋となっているような界隈に入り、その中の海鮮焼がメインの店に腰を落ち着けることにした。生ビールがあっという間に乾いた喉を流れていく。そして…。

      ぴあの事務所でY君と。「ROCKY」のポスターが見える。

 Y君はここ十数年、精神的に不安定な時期が続いていたが、この半年くらい、取り憑いていたある種の強迫観念がすっと抜け、普通の状態に戻ったという。そして、長い物語になるが、そういう精神の不安定な時期に入る少し前から、現在に至るまでの経緯を書いてみたいと言った。今後のY君の活躍に期待したいところである。こういう前向きな話を肴に酒を飲むと、いくらでも喉に入るし、また格別に旨い。 *なお、買った本のうちの「毎日食べる。家で、ひとりで」渡辺康啓(アノニマ・スタジオ)をY君にプレゼントしたところ、さっそく実践しているそうです。

 

 7月16日(日)は阿佐ヶ谷で行われた李麗仙遺作『隅田川』(構成演出・山崎哲)を見に行く。山崎哲さんは唐十郎の状況劇場出身で、その後、「転位・21」を旗揚げし、その作品で数々の賞を獲られているが、恥ずかしながら、その劇を見たことはなかった。ところが、facebook で様々な映画評を書かれていて、私も見た数々の映画の批評で教わるところがたくさんあり、友達申請をしてお受け頂いた。その山崎さんが、五年前、李麗仙さんの体調不良で中止となった劇を、風祭ゆきさん主演で改めて行うという告知を見て、これは是非とも観なければと足を運んだ次第である。


 内容は生と死を分かつ隅田川(三途の川?)を前に繰り広げられる人間劇、取り分け、子供を亡くした主人公の魂の行方で、しみじみとした琵琶の演奏と語り、読経と打楽器の迫力ある音楽がそれに彩を添え、さらに風祭ゆきさんや三上寛さんらを筆頭とした出演者の存在感と心に響くセリフにより、あっという間に異界の時間は終わりを告げた。

 そのあとに行われた、李麗仙さんを偲ぶトークショーがまた素晴らしかった。山崎さんのトークはアドリブも含めて舌鋒鋭く、同じく状況劇場出身の佐野史郎さんもたじたじとなる一幕もあり、李麗仙さんの数々の想い出をそれぞれのゲストが語っていくなかで、笑いあり、涙ありの、またひとつの物語が繰り広げられていった。

   写真を撮って良いと言われ、画像をチェックしている私。山崎哲さんfbより。


 7月17日(月)は横浜のにぎわい座へ「第拾回枝太郎まつり」を見に(聴きに)行く。以前行われた第一回は訪れたことがあるが、それから約10年、節目という事で参加することにした。

 その昔、自宅のマンションから徒歩1分足らずのところに「藪そば」という蕎麦屋があった。味もさることながら、店主の佐久間さんの人柄の良さも相伴って、ずっと贔屓にしていた店だった。その「藪そば」で、「藪亭」と称して5年半行われた落語会の主宰が桂枝太郎さんで、私もたまに参加した。二畳ほどの畳の座敷に座布団を敷いて、その上に座って落語を語る枝太郎さんの汗のかき具合まで見ながら何度も笑い、そのあとは日本酒とそばを堪能するという誠に贅沢な時間だったが、「藪そば」の千葉移転とともに、その落語会も終わりを告げたのだった。

8年ほど前の「藪亭」落語会。手前右が枝太郎さん、その後ろが私、右隣が友人I君。


 久しぶりに聴いた枝太郎さん、失礼を顧みないで言えば、こんなに上手く面白かった?と思わせるほどの磨きのかかった語り口、とにかく爆笑の連続で、時にしんみりとさせ、時間の経つのを忘れるひと時だった。ゲスト陣も豪華で、毎回登場される狂言の三宅さんのよく通る力強い発声に改めて驚き、立川志の輔さんの名人話芸に酔い痴れ、西野亮廣さんとの対談は、枝太郎さんが志の輔さんを西野さんに紹介したにもかかわらず、西野さんはさも二人だけで会ったような紹介を周囲にしていたという話を暴露し、捧腹絶倒。二人でこれからも漫才をやってもらいたいと思うほどの面白さ。「キャパオーバーな事をしていかなければ縮小の未来しかないよ」と言ってこの落語会のあと押しをしてくれた西野さんだそうだが、今は二人とも当時のキャパを超えて活躍しているのが素晴らしい。

      ウォーリーならぬトンベを探せ(笑)。よく見れば映っています。


 さて、今年はこれまで自粛していた花火大会も軒並み行われるようになりました。最近、金武 武さんは写真を撮るのによい花火大会という事で、ネットに素晴らしい花火写真とともに記事を書いておられます。

 この中で、私が行ける花火大会はありませんが、9月24日に行われる調布花火大会には足を運んでみようと思っています。皆さんもどこかの花火大会に出かけ、しばし地上の嫌な出来事は忘れ、無心で夜空に浮かぶ花火を眺めてみてはいかがでしょうか?

 それでは、炎暑はまだまだ続きますが、蝉やキリギリスに負けずに、この暑い夏を楽しんで参りましょう。

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